ピーノの独り言

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zoom RSS 永世中立国スイス連邦・非武装中立コスタリカ共和国 〜それぞれの国の現実〜

<<   作成日時 : 2005/12/03 01:32   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 133 / トラックバック 3 / コメント 6

世界中のどの国を探しても、憲法に侵略の為の武力を明記している国はありません。
言葉を変えれば、世界中の軍隊は全て自国を守る為の「自衛隊」なのです。

さて、その軍(自衛隊)を持たずに、自国の平和を守ることが出来るのでしょうか。

日本では、昔は永世中立国としてのスイスが理想とされました。
現在は非武装中立のコスタリカを持ち出す自称「平和主義者」が多いと思います。

今回は、そのスイスとコスタリカにスポットを当ててみたいと思います。


昔は理想とされたスイス連邦。
現在は何故、スイスを引き合いに平和を語る事が少なくなったのでしょうか?
それは、スイス式「永世中立」の具体的な中身が日本にも伝わってきたからでしょう。

知らない方もいらっしゃるかもしれませんが、スイスは20-30歳の男子に兵役の義務があります
女子は任意です。

スイスの国防の基本戦略は、敵国にとって、仮に侵略が不可能でないとしても、侵略のメリットよりも損害の方が大きくなるようにすることです。
第二次世界大戦中には領空侵犯した連合軍をも撃墜するなど、実力をもって中立を維持しています。
つまり、非武装などでは決して無く、逆に、「軍事力を保つ」ことによってその独立と平和を守っているのです。

スイス連邦の自由と独立を守るという固い意志は、スイス連邦法務警察省が各家庭に配っている『民間防衛』という本を読めばよくわかります。
この本の要点は次の言葉に表されているでしょう。
自由と独立は、絶えず守らねばならない権利であり、言葉や抗議だけでは決して守り得ないものである。手に武器をもって要求して、初めて得られるものである

武力のみではありません。
自国の価値感、文化、民主主義を守るためにあらゆる「攻撃」からの防衛を想定しているのが興味深い点でもあります。

民主主義は個人の意見を尊重する。これが民主主義のもっとも大きい
長所の一つである。民主主義国家では、個人の私的な言動にまで介入
することはない。報道、ラジオ、テレビは自由である。各人は、自己の
気に入った政党を選ぶことができる。「自由」が空虚なことばでない国、
自由の内容がちゃんと充実している国では、このようになっている。
しかし、国家は共同社会を守らなくてはならない。そのため、国家は
特にスパイ行為と戦う義務を持つ。スイスには思想に関する罪というものはないが、
しかし、われわれの防衛力を弱めようとする連中は、監視しなければならない。
内部から国を崩壊させようとする作業が、公共精神を麻痺させるものによって
企てられる可能性が常にある。
 自由はよい。だからといって、無秩序はいけない。ゆえに、国家的独立の
意思をなくしてわれわれを弱体化させようとするイデオロギーに対して、
人々の注意を喚起する必要がある。教育者、政党、組合、愛国的グループ
など、世論に影響を及ぼす立場にある人々は、みずからの責任を絶えず
自覚しなければならない

- 自由と責任  民間防衛237P -


「民間防衛」は邦訳されて一般書店でも販売しているので、興味のある方はどうぞ。
民間防衛 新装版―あらゆる危険から身をまもる


Webで中身を知りたい方はこちらをどうぞ。
http://nokan2000.nobody.jp/switz/

「武力」そのものを否定したい「平和」愛好者にとって、ガチガチの防衛国家では参考になりません。
それで、近年引用される様になったのが、中南米の国コスタリカです。

コスタリカ共和国の説明をすると、ニカラグア、パナマと国境を接しており、太平洋とカリブ海に面しています。
識字率も高く、コスタ・リカはスペイン語で「豊かな海岸」の意ですが、その名に恥じず自然が豊かで、近年はエコツアーによる観光収入が増加しているみたいですね。

常設軍は1948年の憲法により、廃止されました。
この事実でもって、コスタリカを「軍の無い平和な国」と喧伝する人が居ますが、それはコスタリカの現状を良く知らない発言でしょう。

INTER-AMERICAN TREATY OF RECIPROCAL ASSISTANCE (RIO TREATY)
まず、コスタリカも加盟している米州相互援助条約(リオ条約)の存在ですが、これは同国には集団安全保障体制のバックアップがあるという事です。
そして、1999年からは麻薬取締協定を締約し、コスタリカの警備隊と米軍が共同で取締りを行っており、米軍のコスタリカ領への寄港と領土使用を容認しています。
この事は、コスタリカ領の一部が事実上軍事基地化している事を意味します。
結局、コスタリカは自国の軍は廃棄したものの、国防は集団安全保障及び米軍に担保されているのが現状なのです。
これを本当に「非武装中立」と呼べるのでしょうか?ピーノは甚だ疑問に思います。

* ちなみに、軍は憲法で廃止されましたが、非常時に軍隊を組織することは憲法で認められています。
 そして、コスタリカでは国防を専らの目的とした組織は存在しませんが、ロケット砲や機関銃などのそれなりの装備を有した部隊は存在します。(何をもって軍隊とするのは線引きが非常に難しいのですが・・)
コスタリカに「軍」はありませんが、他国の「軍」がその安全を担保しているのであれば、結果的に「軍の無い非武装中立」というのは空疎なスローガンでしかありません。

さて、「軍隊」は否定されるべきものなのか?(・・うわー右翼と罵られそうな命題だな。。)

まず、軍隊を否定しても、警察を否定する人は居ないでしょう。
どちらも「物理的抑止力」という点では同じなのに。
警察は否定できない、これはやはり「時としての人間の暴力性」を否定出来ないからでしょう。
ピーノにとって、非武装中立の反戦運動が陳腐に聞こえるのは、根底にある「人間軽視」が見え隠れするからです。
その理想は素晴らしいと思いますが、宗教でさえ人間の業を止める事は出来ませんでした。
いや、それすら戦争の口実になったくらいです。

人間の「業」を「業」として認め、どの様にコントロールしていくかが大切なのはないのでしょうか。
武器を無くしても、争いは無くなりません。
仮に「軍隊」を廃止しても、人間の暴力性は形を変えて噴出してきます。
テロやゲリラ等はまさしく正規の「軍隊」でない暴力です。
軍隊を管理された暴力とすると、それらはまさに無秩序な暴力です。
そして、それらはタチの悪い事にジュネーブ条約の規定外なのです。
そのようなルールを最初から完全に無視した「暴力」が跋扈する世界の方がピーノはよっぽど怖いと思います。



* ピーノは、「反戦」を思う度に、以前に引用したこちらの文章が思い出されます。
よかったら読んでみてください。
http://pinoccio.at.webry.info/200511/article_14.html

12/9 追加 --------------

コスタリカと周辺諸国の防衛費です。
「非武装中立の国」コスタリカの防衛費、隣国ニカラグアの2倍以上ありますね。
まぁ、人件費の高さや米製武器の購入費が防衛費を押し上げているのでしょうが、
日本の防衛費の高さと構造は似たようなものですね。

コスタ・リカ共和国
(1)防衛・国内治安予算(約101百万ドル)(2005年)
(2)兵役 なし
(3)兵力 1948年憲法により常設軍を禁止。治安維持のための国家警備隊及び地方警備隊あり。(約8,400人)

ニカラグア共和国
(1)予算 34.7百万ドル(05年)
(2)兵役 徴兵制なし(チャモロ政権の時代に廃止)
(3)兵力 14,000人(陸軍12,000人、空軍1,200人、海軍800人)
(05/06年ミリタリーバランス)


パナマ共和国 面積 75,517km2  人口 283万人
(1)国防軍は、1989年12月の米軍侵攻をもって解体。
新たに警察力を主体とした国家保安隊が設置。勢力11,800名(志願制)
(ミリタリーバランス2004/2005)
(2)国家安全保障費159百万ドル(2004会計年度)

参考:日本外務省ホームページより
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/latinamerica.html

皆さん、コスタリカだけが非武装中立の国と思っていましたか?
私も最近まではそう思い込んでいました。

けれども、軍隊を持たない国々って他にもこれだけあるそうですね。


472 名前:文責・名無しさん 投稿日:04/05/17 00:48 ID:erUzeyty
>>460 【平和主義国家の実際】
某サイトが「軍隊を持たない国」と礼賛している国々が、本当に非武装中立か調べた。
アイスランド→まるで武力を持たないがNATOに加盟、米軍が駐留。
バチカン・サンマリノ→僅かな武力を有すが軍隊はない。イタリアの軍事保護化にある。
モナコ→軍隊はない。フランスの軍事保護化にある。
リヒテンシュタイン→非武装中立。ただしスイスと緊密な友好関係にある。
コスタリカ・ハイチ→軍隊はない。アメリカの軍事保護化にある。
パナマ→軍隊はないが国家保安隊をもつ。アメリカの軍事保護化にある。
モーリシャス→全方位外交を展開。機動隊・沿岸警備隊をもつ。
ガンビア→人口(130万)に比べれば少数だが、志願制の国軍(800人)をもつ。
キリバス・バヌアツ→非武装中立。太平洋諸国との友好を重視。
ツバル→軍隊はない。西側との強調重視、共産圏とは距離を置く。
ソロモン諸島・サモア→軍隊はない。ただし有事の際は豪州・NZの軍事支援を受ける。
ナウル→軍隊はない。独自の外交を展開。
モルディブ→非同盟中立だが国家保安隊をもつ。
※外務省のサイトを参照した ※警察力は「武力」から除外した。
立憲君主制など「君主」がいる国はバチカン・モナコ・リヒテンシュタイン・ツバル
・サモアである。他は共和制(連邦共和制・立憲共和制を含む)である。
>>

コスタリカに固執するのは、「環境保護」も行っている国という事で「良心的知識人」の方々の心に響くものがあるからでしょう。
コスタリカの現状が明らかになった後は、下記のどの国を「非武装中立」「軍隊の無い国」モデルとして持ち上げるのでしょうね。


【 関連 】

本当の反戦とは?
http://pinoccio.at.webry.info/200511/article_14.html



民間防衛―あらゆる危険から身をまもる

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
非武装中立の国コスタリカの今の状況は?
ガメラ
2006/12/18 11:27
現在のコスタリカの状況ですが、

2006年2月5日に行われた総選挙では、2人の大統領候補者が大接戦となっています。
結果的に元大統領でノーベル平和賞受賞者である野党第1党国民解放党(PLN)のオスカル・アリアス氏の大統領が当選しました。
今回の総選挙の最も重要な争点は米国・中米ドミニカ共和国自由貿易協定(DR-CAFTA)の批准にあったらしいです。
PLNのアリアス氏は以前からCAFTA推進派、端的に言えば親米派です。(もっとも、コスタリカのような小国ではアメリカの裏庭で反米など望むべくも無いのですが)

非武装中立に関して言えば、変わりはありません。米国の政策に反しない限り、米国の庇護を受けられます。
米軍の寄港については賛否両論ありましたが、この時のアリアス大統領は、「別に他国の軍隊と戦う目的ではなく、麻薬取締の目的であるから、米軍の寄港は認めるべきである。もっと財政赤字などの重要な問題を討議すべきである」と発言しています。
ピーノ
2006/12/19 00:42
 コスタリカの非武装政策ですが、民族主義的性格を維持するパナマ国防軍の解体を目的とした89年12月のアメリカの侵攻を意図はどうであれ、側面援護する結果になっています。
 コスタリカのアリアス大統領(当時)は、米軍のパナマ侵攻直後の1990年1月に、パナマがコスタリカに見習って軍隊を廃止するように提案しました。

反米、民族主義になるような軍隊なら廃止させてしまえという事ですね。

ピーノ
2006/12/19 00:49
まず、再開おめでどうございます。
ここはワロス曲線の記事からちょくちょく寄らせていただいているのですが、再開できてよかった。
私はコスタリカはあのサンディテニスタ軍も退けた、ある中央アメリカ最強の陸上戦力をもった国だと思ってるんですが贔屓にするライトな方々は絶えませんね。
あと、上記の「本当の反戦とは?」の引用元はなくなってしまったんでしょうか?
sdi
2006/12/20 01:15
一旦手が止まると、なかなか再開するのがおっくうで・・スミマセン。
「本当の反戦」は現在リンク切れになっていますね。
探してみます。
ピーノ
2006/12/20 20:36
私は、永世中立人間の涌井と言います。
これから私は、左にも右にも偏らない人間として生きていく所存であります。
宜しくお願いします。
永世中立人間
2010/04/15 03:03

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