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zoom RSS 中東情勢から思う 今日この頃

<<   作成日時 : 2011/02/26 10:49   >>

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 今回の中東動乱は革命というものがどの様に拡大再生産されるのか、まざまざと見せつけられ、考えさせられた出来事であった。

 日本のメディアでは「学生」「ネット」等の単語が踊り、「腐敗」「独裁」「守旧」と対比させて新しい時代の到来を歓迎ムードで書き立て、若い力の台頭に心躍らせている様であった。その様子は、さも学生運動に没頭していた自分たちの青春時代を重ね合わせシンパシーを感じていた様にも見えた。
また、私の様にブラウン管から流れてくる民衆の熱狂にベルリンの壁、冷戦の終結、これから始まる混乱の時代を思い起こした世代も居るだろう。前述を知らない世代でも、ワールドカップ時の様に民衆の熱気を感じ、純粋に熱狂を楽しんでいた人も多かったのでは無いだろうか。

 面白い事に、日本国内では「ネット」に関わる事件と言うと「オタク」「犯罪」といった暗いイメージが先行しがちで、Sengoku38事件やWikiLeaksの時でさえ否定的調子で報道されていたにも関わらず、中東の一件では、一躍「ネット=独裁者に対する民衆の武器」とのイメージが振り撒かれた。
もっとも、これは中東という遠い異国の出来事だからなのかもしれない。
だが、私の周りでも、今まで「ネットなんて胡散臭い」という調子で理由も無く嫌っていた中年世代が、「いや〜ネット革命だねぇ」なんて嬉しそうに仰るのを日常的に聞かされながら、市民レベルでの、そのイメージの変わり様に驚く日々である。


 さて、今回の中東動乱の引き金を現在知り得ている情報で簡単に整理すると、
・ チュニジアで路上の果物売りの若者が無許可営業を取り締まられ、商売道具を没収される。
・ また、その際に若者は女性警官に殴打される。
・ 若者は貧困層の一家の大黒柱的存在であった。
・ 若者が必死に当局に返還を訴えるも当局無視。若者逆上して自ら燃料を被り焼身自殺。
・ 一連の行動を見物人が携帯で撮影。ネット上に掲載。
・ ネットでの動画を見た女学生がFacebookを通じて拡散。その女学生にはFacebookで数千人規模の繋がりを持っており、拡散の規模が一気に加速。
返還に際し、賄賂を求められたとか、横暴な女性警官が男性を殴り、男性のプライドを傷つけたなど様々な情報が飛び交った。
→Facebook上でデモが計画される。


 ただ、これはあくまでも発火点であり、中東情勢の導火線となったのはリーマンショック後の経済的困窮、投機マネーによる穀物価格の国際的な急上昇であり、政権の腐敗、持てる物へのルサンチマンがマグマの様にドロドロと溜まっていた上で爆発した。その結果である。

中東各国では今までも政権に対するデモや騒乱は何度も起こっており、デモが起こってはその度に軍に潰されて来た。

当局も動きは把握しており、アカウント削除や成り済ましによるかく乱情報の配布など、ネット上での攻防も激しいものがあり、これはNHKで非常に良い特集を組んで放送していたのはご存知の通り。
Facebookがデモ参加者の武器となれたのは、簡単に扱えた上に高度な情報の暗号化が行われていたから。
従来は暗号化の為には送る方も受ける方も専門的な技術が必要であり、限られた人間しか情報を共有できなかったのだが、Facebookは非常に簡単にアカウントを作成出来る上に情報は高度に暗号化され、送信側が細かく受け手を選別出来たのである。

瞬間最大風速的に当局の準備が整う前に一気に人を集める事が出来た「インパクト」
これは大きかった。それでも学生だけの運動では潰される可能性は高かった。

その状況を変えたのが、アルジャジーラによるデモの様子の放送、デモの様子の撮影映像のネットでの流布、そしてそれを好機と見たイスラム指導者層による貧民の動員。
ネットによるデモの様子の流布はじっと様子を伺っていた多数の若者層を糾合した。
アルジャジーラによる放送でネットを見ない若者層以外の世代を呼び起こした。
現状に不満があり、主義主張の無い単に暴れたい暴徒達も引き寄せられる。
まさに数が数を呼ぶ状況だった。

ここに近代化を目指して当局に半ば強権的に抑えられていたイスラム原理系宗教指導者層が加わる。
信者である幅広い層、資金、全土に到る宗教ネットワークなどの組織力がある彼らはプロの運動家なのだ。
彼らが首都から地方への拡散をより組織的に、効果的に運動を加速させていく。
結果として、チュニジア全土が燃えた。

日本人は日本という国に一つの言語、一つの民族が当然という風に感じていると思う。だが、中東に関して言えば、一つの国に様々な部族が住んで居て、言語も地方で異なるのが「普通」なのである。だから首都で学生がデモを起こしたとして、それが全土に波及するというのは難しい。

中国の天安門事件でも、結局運動は地方へ波及する事無く、天安門という極一部の地域で火は消えてしまった。
何故軍があれ程までに強圧的に学生を排除出来るんだ?と思う人も多かったかもしれないが、学生運動を鎮圧した軍人は地方から集められた農民が主であった。彼らにとって首都に住む学生は自分たちと住む世界の異なる「恵まれたのボンボン」であり、何をほざいてやがる程度の認識であった。
シンパシーを感じていなかったからこそ、いとも簡単に学生達を潰せたのであった。

漢族同士の事柄でさえこうなのだから、中東ならそれは尚更だ。
政府に対する怒りはそれぞれ抱いていても、それぞれの運動は横の連携を結ぶ事もなく単発で潰されていた。特定の層だけのデモにシンパシーを感じる軍人は居ない。

それが、学生デモの規模が瞬間最大風速で治安部隊の鎮圧力を上回り、政府が潰せなかったインパクトは大きかった。
その映像は国外メディアやネットで繰り返し流された。国営メディアが黙殺しようとしている事が却って信憑性、重大性を浮き彫りにした。
これを勝機と見た各層の反政府勢力が一気に加わった。それらプロの運動家達は学生の数倍もの年配、貧困層を大量に動員させた。
軍人も人の子である。シンパシーを感じる層が相手側に加われば攻撃の気持ちが怯むのも当然である。
それは祖父や父の様な年配に対する尊敬の念かもしれないし、宗教家への尊敬の念かもしれない。
同じ訛りを話す同郷の者への配慮もあるかもしれない。貧民への憐憫の情かもしれない。
デモの主張に正当性を見出した者も居ただろう。

かくして、激情の奔流は土石流の如く周りを巻き込みながら、政権さえも呑み込んだ。
その奔流はチュニジアに留まらず中東全域に地滑りを引き起こしている。



ただ、「ネット革命」という一事だけ見てみれば日本は実は対岸の火事で無いのだ。
検察や既存メディア、日本をリードしてきた一部上場企業
これらの情報独占、隠された情報が綻び始めている。
既存のメディアや御用識者達が「ネット革命」などと囃しているが、その言葉が今度は自分たちに向けられる事になるかもしれない。大いなる皮肉である。


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